久米島の香り(1)サガリバナ



たまたま久米島で嗅ぐことになったこの花、サガリバナは、

久米島に限らず、沖縄全域に見られる花のようです。

6月〜7月、ちょうど今がシーズン。

日が暮れる頃に咲き始め、一夜でその命を落とす儚い花です。


翌朝あたり一面に散らばっているその花を、

拾い、水に浮かべて、残り香を楽しむ。

地元の方のこの感性が素敵です。


「咲いてると、けっこう遠くからも匂ってくる。

近くで嗅ぐとけっこう気持ち悪い」

と地元の方はその香りを表現します。

私は実際に咲いているところを嗅いではいませんが、

この水に浮かんだ花の残り香は、香水用語的に表現すると "animalic honey"

インドール系が強い印象でした。

確かにこれを濃くすると、ムワッとするような甘い香りになるかも。


ジャスミンやヒヤシンスのように、摘んでも香り続ける花の種類といえます。

きっと私なら、アンフルラージュ法で香りを抽出する。

今回は旅の途中なので実験道具を持ち合わせてませんが、

次回はアトリエを担いでまた来たいところですね。


実はこの花、

なかなかお目にかかることのできない貴重な花なのです。

湿地帯、いわゆるジャングルのようなところに咲く花なので、

西表島では、「サガリバナ・ツアー」といって、

カヤックで早朝のジャングルに出かけて観にいくほどのもの。

実は先週、西表島にこの花を求めて行ったのですが、

早朝や夜遅いツアーに参加できる程の体力がなく、

あきらめたところだったのです。

それが、久米島で待っててくれました。

久米島では、ところどころ民家の軒先にあるとのことですので、

運が良ければ、お目にかかることができるかもしれません。

この花のために、この島に流されてきたのかしら。


香りは常に、一期一会。

香りを発するそのものの鮮度や香りの濃度のみならず、

環境臭などが大きく作用するので、

体験一つ一つ、どれとして同じものはない。

ましてや、このように貴重な花であればなおさら。

だから、おもしろい。

基本に返るきっかけになりました。










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