2009/05/28

ラジオ出演のお知らせ

放送日:6/5日(金)24:00-24:15AM
チャンネル:FM79.7MHz
場所:京都(大阪、滋賀の一部)
ラジオ局:京都三条ラジオカフェ
番組紹介Page:
http://radiocafe.sakura.ne.jp/b_syoukai/wonderful_science.php?id=wonderful_science

過去放送分はこちら:
http://wonderfulscience.seesaa.net/

この番組のナビゲーターが、オランダにリサーチがてら取材に来てくださいました! Thanx!

2009/05/26

花魁コスプレの舞台裏



[衣裳]

花魁用の着物や鬘も、予算の制限もありホンモノを全て揃えれるわけではない。(というか本来、匂いの作品第一、コスプレ第二、で あるわけで。すぐそのことを忘れちゃうんだけどね 笑)なのでなるべく自前のものを使い、アレンジしました。この衣裳は、数年前にたまたま奈良の道端で見つけたもの。豪華ですが正統な花魁衣裳ではありません。下着類は作り、襦袢にもかなり手を入れ、紐などの小物は祖母の形見を使わせてもらい、帯はロッテルダムのマーケットで購入したゴブラン織(カーテン生地)で作りしました。

帯がゴブラン織、というのは意外な組み合わせでしょう? 丸山遊女にはその当時、オランダ人からたくさんの贈り物が贈られました。報酬は角砂糖で支払われたともいいます。それな ら、当時はかなり稀少価値の高かったゴブラン織りも、丸山遊女には贈られたということも充分ありうる・・・と考えたのです。東照寺や金唐革などの、洋の東西を問わない中世的な世界観にも通じる、バロック風の唐草模様を選びました。(田中優子「江戸の想像力」参照。)これを見たオランダ人は「あれ? あの帯・・・なんか おばあちゃん家のカーテンみたい」とちょっとびっくりされかも知れませんね。


[メイク]



普段たいしてメイクもせず、つけるのは自家製化粧水とクリームていどの私。今回のプロジェクトのためにもメイク用品とメイク落としなどを一式揃えて調達せねばならななかった(つまり自前のを持っていなかった)私に、はたして花魁メークなんかができるのか・・・という疑問と不安は大いにありました。花魁を不安にさせないために黙っていましたが(笑)



が! 

やればなんとかなるもんです。お絵描きはもともと得意だし、思えばメイクの経験が無いわけではなかったのです。遠い昔、アメリカでの高校生活では毎日、恥ずかしいほど厚化粧してましたっけ。

花魁メイクは、「三善」舞台用メイクマニュアルを参考にしつつも、なるべく素顔を生かすように努めています。いわゆる手抜きというやつ(笑)かもしれないですが「夜桜化粧」の色っぽさは出すようにはしてます。白粉下のファンデーションには、展示しているのと同じ「伽羅の油」を使っています。これが花魁から匂い立つ香りの正体です。そしてお歯黒は日本のパーティ用品ショップで仕入れましたが、これがなぜかドイツ製。


[着付け]



着付けにしてもよっぽどプロの人を頼みたいくらいでしたが、オランダとなるとそのプロの絶対数さえ多くはないので・・・はい、私がやってます。昔、親友に着付けのポイントを教えてもらったその経験だけでやってますので、相当怪しいですが、花魁に手伝ってもらいつつなんとかなってます。まあ花魁という商売柄、キッカリよりはフンワリと、着崩れしにくいよりは脱がせやすいように(笑)を心がけて、補正などはなるべく使わないようにしてます。




[鬘]



鬘(かつら)はどうしようかと、最初は途方に暮れましたが、知人に聞き回り、なんとか日本で中古品をゲット。簪(かんざし)類は、鎌倉の「かんざし屋」のご主人(すごいです。螺鈿づくり云十年という方。)と相談しながら、花魁なら最低これだけあれば格好つく、というものを揃えました。当初は伝統を行かずに現代風にアレンジしちゃおう!とも思っていたのですが、あれこれ選んでいるうちに結局、「黒髪に黄金の鼈甲」の王道が私の目に最も美しく映ったのでした。ポックリ下駄と簪だけでも、けっこうな出費。



こういった材料や小道具は主に、日本に行っていた10日間で仕入れました。でもオランダに戻ってから、足りないものが次々と出るわ出るわ・・・ そこはもう、あるものでなんとかするしかないのです。それがまた挑戦でもあり、腕の見せ所でもあるわけですが。その道の方々の目には「ちょっとこれ、違うんじゃない?」と映る部分はたくさんあるかと思いますが、なにとぞ、お手柔らかに・・・。

2009/05/19

制作ノート(3)


制作途中の台所・・・散乱してます。

出島の匂いのひとつとして挙げたかった fox oil (狐油)がなかなか手に入らず、代わりに oleum animale という獣油をオーダーしたところ・・・ 

ほんの少し匂いを嗅いだだけで、半日気分が悪くなってしまいました。ボツです。今思い出しただけでも、気持ちが悪くなるような、そんなニオイです。これは動物の骨とか死骸から抽出した油で、本来、羊小屋や馬小屋などを野獣から守るために使われるようです。ホメオパシーでも薬として使われています。



匂いのインターフェース、頭を突っ込む部分をデザインしている最中。枚数、大きさ、固さなどを調整中。中学数学の知識を久々に使った作業でした。



これはオープニングの5日前。ディフューザー機器類をインストール中。センサーの届く距離を測ってます。



現場作業はたったの3日間、計14時間で済みました。実際、子供が学校に行ってる間しか仕事ができないので、そうするしかなかったのですが、ライデン美術館の寛大なサポートのおかげでもあります。いくら制作の追い込みでも育児家事はやらなければいけないので、時間の制約を感じないために、あらかじめプロジェクトの最初から効率的な仕事をするように心がけたのも良かった。

このプロジェクトに関しては、最初のコンタクトがあったのが約1年前。楽しいプロジェクトがついに終わってしまったのか、・・・とちょっと寂しい気分です。、、、涙、、、。

オランダに足を突っ込んでもうすぐ約10年。ようやく慣れたというか、縮こまること無く、かつ誇張することなく、伸び伸びと自然に仕事ができるようになったようです。

制作ノート(2) 丸山遊女の匂い 

江戸時代のベストセラー化粧水「花の露」の制作



江戸時代の薬用美白化粧品「美人香」の制作

都風俗化粧伝(1813)に載ってる作り方に「原材料を轢いて絹の布で濾す」とありまして、困りました。絹の布といってもいろいろあり、オランダの生地屋さんで手に入るのは日本の絹布とは目が違うだろう、と思われたからです。そこで、持っている古い着物から絹の布をはがすことにしました。ケーキ型とヘアバンドを駆使して、簡易型の篩(ふるい)を作りました。


やっぱり絹で濾したものは、目がきめ細かい。最初は木綿でやったのだけど、断然絹の方がいいです。

美人香は、あらい粉として、パックとして、そして化粧下ローションとして、いろいろな使われ方をされたようです。美白願望は今も昔も変わりません。漢方の生薬っぽい匂いです。


都風俗化粧伝(1813)にある通り、ゴマ油と水を足すと、緑豆の成分で乳化し、ローション様になります。江戸時代にはローションやクリームはなかったというのが定説ですが、これこそローションでは、と作りながら私は思いました。



江戸時代のベストセラー 鬢つけ油 「伽羅の油」の制作
この「伽羅の油」は魅惑的で助情的な香りのする、バター状の化粧品。いわゆるお相撲さんの匂いでもあります。

オイル・マセレーションで香料を抽出中

ロジン(松脂)


天然竜脳





固まる途中、なぜか変な模様が・・・しかもひとつひとつ違うのです。とってもキレイ。


お歯黒の制作

五倍子粉(ふしこ)。アブラムシの刺激によってウルシ科のヌルデの木にできる、木の瘤(こぶ)です。


割ってみると、アブラムシの死骸と思われる白いツブツブが・・・ こんなものを歯につけるんでしょうか?!

気持ち悪かったけど、そのまま轢いて粉にしました。

3ヶ月前に仕込んでおいた鉄漿水(かねみず)と混ぜるとあーらフシギ、真っ黒に・・・というわけにはいきませんでした。茶色です。以前お歯黒を作ったことのある方によると、3ヶ月では黒くはならないとのことでしたので、もうちょっと時間が必要なのかもしれません。でも匂いのタイプはわかります。やっぱり顔をしかめてしまうような匂いです。これを歯につけるというのは、まあ慣れの問題なのでしょうけど、私は遠慮したくなります。


匂い袋の制作

「薫集類抄」に載っている、おそらく10世紀前後のレシピをもとにしました。いかにも古くさい、古風な匂いです。湿気のある気候に似合いそうな。




私のネームカードでもあります。


白粉(おしろい)の制作

むかしのレシピだと、水銀とか鉛とか現代では体に悪いとされているものばかり使われていますので、現代版に置き換えて、ドイツの手作りコスメ本を参考にしました。

水に溶いて塗ると、ちょっとユーレイみたいになります。

山田憲太郎氏の「香料」という本によると、江戸時代のおしろいは本来あまり匂いのしないものとされています。しかし氏の節々の記述から、氏が思うおしろいの匂いといえば「麝香・竜脳」ということもわかったので、そのように匂いづけしました。むかしの「脂粉の香り」という表現は、このような匂いを指すのかな・・・と想像してます。(どなたかご存知の方は教えてください。)


体身香(飲む香水)の制作

丸める作業は、日本からわざわざお手伝いに来てくれた(!)ミヒロちゃんにお願いしました。たいへんお疲れさまでした・・・

2009/05/18

5月17日 〜花美花魁〜

















花美花魁のファンが遊びにいらっしゃいました。





色気たっぷりの、やや挑発的な(笑)これまた個性的な花魁でした。
同じ衣裳やメイクでも、その人によって全く違う出来上がりになるのはおもしろい発見。

この日の撮影は私でした・・・もうちょっと腕を上げたいとおもいます。すみません。花魁。
(やっぱりきちんとしたフラッシュ使わないとね・・・)


なんと、花束をいただきました。
昨日、今日と続けて見にきてくれた(研究しに来てくれた)しのぶ花魁より。
とっても嬉しいです〜 ありがとう!

Holland Mania - オープニング

2009.05.16.
Holland Mania展  オープニング



オープニングでは、丸山遊女は日本代表を務めました。左から、元ライデン市立美術館館長、日本代表、アメリカ代表、オランダ代表


いちおう簡易式花魁道中をしながら美術館に戻ります。


花魁と私はもう鼻がバカになっていたのでわからなかったのですが、周りの人の証言によると、ふんわりと「脂粉の香り」をまき散らていた模様。

本日オープニング、オランダ商館長カピタンをお待ちしている丸山遊女は、みさ枝花魁でございます。


このオランダ人男性は、「本物のゲイシャに会えてボクはとても嬉しいよ。遥々来てくれて、どうもありがとう」と、彼の思いを必死にみさ枝花魁に伝えていました・・・ 

どうやら本物の丸山遊女だと思ってしまったようですね。そんなまさか本物がここにいるわけがないのですが、本日のカピタン賞はこの方に決定です。


ひっきりなしに続く写真撮影にもやさしい微笑で応えるみさ枝花魁。





コスプレーヤー(というらしいです、コスプレやる人のことを)はご覧の通り、動きまわるスペースもあまりないので、オープニングでは布団に座っているしかない状態でした。花魁は喋らないようにお願いしているので、言葉は発せず、アイコンタクトとちょっとした表情の変化とジェスチャーだけができる状態。そんな中、みさ枝花魁はほぼ目だけで観客と上手にコミュニケーションをとっていました。(さすが本業が接客業の方です。)動かない、静のパフォーマンスです。

いちおうインスタレーションの方もご紹介しましょう。今回ついついコスプレの方に力が入ってしまい、アートの方を忘れてしまいがちなのですが・・・(笑)

この部屋には、丸山遊女がつけていたであろう化粧品の数々が展示されています。私なりのリサーチを基に、昔そのままのレシピで作りました。カピタン(出島のオランダ商館長)が嗅いだであろう、魅惑的な「脂粉の香り」を体験してもらうための部屋です。




こちらは今回特別にデザインした、嗅覚インターフェース。遊郭の香り(沈香)、遊女がつけていたお歯黒水の匂い、そしてくすの木(あるいは樟脳)の匂いが嗅げます。




もうひと部屋、インスタレーションを作りました。丸山遊女が出島のカピタン部屋を訪れます。




丸山遊女が出島生活で嗅いだであろうオランダの匂いが展示されています。コーヒー、タバコ、そして食肉。


5/17(日)勤務の花美(はなよし)花魁です。(続く)



この企画をサポートして下さったみなさんのおかげでこの日を無事迎えることができました。どうもありがとうございました!!!


[SPECIAL THANKS]


geisha cosplayer:
Misae Endo
Sato Endo
Shinobu Maekawa
Miwako Amano
Sae Inukai

interior / sewing:
Tomoko Inamura

supply and advise:
Miho Yamaguchi (AOF Air Of Fragrance)
Takako Matsukuma (Aromatique Paris)
Gin'nan kobo, for camphor tree bark
Haru-san in Kagoshima, for Sanekazura
Hiromichi (for perfume bottles)
Takako Murata (Pola Art Foundation)
Wolfgang Michel
Kohgado

assistance:
Mihiro Yamamoto
Sae Inukai
Norika Niki

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