飲むパフューム、(人体)実験

ブリュッセルのFoAMにて11月16日、ワークショップをやります。テーマは「エディブル・パフューム」=飲む・食べるパフューム です。そのための実験をここにご紹介・・・

フレーバー・カップリング という言葉をご存知ですか? 簡単にいうと、「味の相性の良い素材の組み合わせ」です。モレキュラー・ガストロノミーの世界で流行っているコンセプトで、味の組成に共通項の見つかる素材同士を組み合わせて使うと良いのだそうです。例えばワサビとチョコレートの組み合わせって意外に美味しいのですが、これにはやはり味覚分子に共通項があるという裏付けあるのだそうです。

フレーバーをカップリングする作業が調香の作業に似ているので、「エディブル・パフューム」なのです。さてさて、実験に、どんな素材使おうかなあ・・・

なんとなく思いついた リンゴ&四川山椒 の組み合わせを試してみましたが、四川山椒のパンチが強すぎて失敗しました。やっぱりここはカンに頼らず、科学の力に頼るとしよう(笑)。

確か調香師講習を受けた時に、ローズとラベンダーに共通項があると習った記憶があるので、手元にあった調香のバイブル「香料と調香の基礎知識」を引いてみました。


ラベンダー・オイル主要成分
  • Linalool (10 - 20 %)
  • Linalyl acetate (30 - 60%)
  • Camphor
  • テルペン
  • セスキテルペン類多数
  • 1,8-Cineol
  • Lavanduol
  • Lavandulyl Acetate


ローズ(ダマスク)主要成分

  • Citronellol (45 - 50% )
  • Geraniol
  • Nerol
  • Linalool (20 - 25%)
  • Phenyl ethyl alcohol (1 - 2 %)
  • Nonyl alcohol
  • eugenol


ラベンダーとローズ双方に含まれる共通項はLinalool。おたがい20%と、高め。「彼」と「彼女」、いけるかも。さて、これから相性診断といきましょう。



まずは匂い抽出作業。

「彼」すなわちラベンダー。


「彼女」すなわちローズ。








次に調香作業。まずはそれぞれ 1 ml ずつ合わせました。つまりフィフティー・フィフティー。


で、味見。
・・・決してマズいわけではないけど、果糖を加えないと苦みがあって飲みにくい。
そしてちょっと「彼女」の方が強すぎかな? でもそのためか、なんだかほんとに「香水を飲んでる」って感じがします。ほんの少ししか口に含まなかったのに、まだ喉のあたりからふんわりと匂ってくる感じ。味と香りの相乗効果が体験できたのはおもしろい。

以上、人体実験が無事終了いたしましたので、めでたくここに報告いたします(笑)

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