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2月, 2008の投稿を表示しています

子供用エプロンの試作

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コラボレーションの相手であるクリスチーナ・アンダーセンの提案で、
ヨーロッパの一般家庭で使われている布巾を改造してエプロンを作ることになりました。
このパターンは彼女に言わせると「昔懐かしい柄」らしいです。
タータン・チェック、スコティッシュ・チェックなどが思い浮かびますが、
日本でも格子柄は無限にある昔ながらの図柄。
わたしも黄八丈などの着物は大好きです。
格子パターンは洋の東西を問わず、懐かしさを感じさせるもののようですね。









完成! 旧東独国家警察が集めた人民の匂い

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以前にもブログに書いた「もしもこんな匂いがあったら」という展覧会へ出品する匂い・・・

完成しました!

「旧東独の国家警察がスパイ特定のために集めた人民の匂い」


手法やパレットについては詳しくは明かしませぬ。
なんだか自分でやっていても、ほんと怪しいな・・・何やってるんだろうワタシ、と何度も思ってしまいました。
おまえがスパイだろうと疑われてもいたしかたない。


「人の匂い」のパレットとして想定されるいくつかの香料を、自ら抽出して作りました。


やはり詳しくは明かせませぬが・・・


mg単位の精密な作業です。


フランスの調香師養成学校でやったように、各パレットの配合値を計算します。
コンピュータを使い、まさに理性と感性の勝負どこ。

4回目のトライで、イメージしていた「人の匂い」を作り上げることができました。
私が崇拝する調香師・鈴木隆氏の「悪臭学」「匂いのエロティシズム」などの本も参考にしました。
けれども主に頼ったのはこれまでの自らの経験と感性と勘です。
"You smell of what you eat" であるに違いないと睨んだのです。
こうして作り上げた渾身の香水。
完成した翌日には廃人状態であったことはいうまでもありません。

この香水(オイル)は展覧会のカタログ用です。
擦ると匂う印刷物ありますよね。
あんなふうにプリントされるそうです。

さて、これから展覧会用の香水を作ります。

「匂う絵の具」を作ってみる

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ひきつづき、コドモ匂いワークショップの準備を進めています。
今日は八角を使って、「匂う絵の具」を作ってみようと思います。

絵の具の作り方は、このサイトを参考にしました。必要なものはなんとピグメントとミルクだけ。


「お星様みたい。」
八角の匂いも嗅いでみます。


まずは八角を轢いてパウダー状にします。


昨日新たに2種類の乳鉢を購入。大きい方が使いやすいようです。




10分後


濾します。


ピペットで少しずつミルクを加えていきます。


Senがミルク係、わたしが混ぜる係。


「おいしー」


「ウンチみたい」


ペースト状になりました。


絵の具の乗りは、水彩絵の具用の紙がちょうど良いようです。


いったい何を描いたんでしょう・・・


残った絵の具の可能保存期間をこれで実験します。


子供用エプロンの材料を買い集めました。

ガラム・マサラの調合 - 子ども匂いワークショップの準備

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3月頭にベルギーで、子供向けの小さなワークショップをやります。
友人でもあるメディア・アーティスト、クリスチーナ・アンダーセンとの共同制作です。
ベビーから4歳までの小さな子たちのためのフェスティバル。
ヨーロッパの人々はアート/ミュージック・フェスティバルが大好きで、どこでも盛んですが、幼児向けのフェスティバルなんて聞いたのは初めてです。
なにしろ言葉がまだ通じない年代です。
だからこそピュアな匂いの体験をしてもらえるかもしれないのですが。

ワークショップの内容は簡単なもので、
スパイスを乳鉢で轢いてもらい、潰す行為と立ち上がる匂いを楽しんでもらうスパイスで香りづけた特製絵の具で、「匂いの絵」を描いてもらう匂いの記憶を、描いた絵とともにお持ち帰りしてもらう




スーパーから物色してきました。
パレット選び、悩むところです・・・。


布巾から子供用エプロンを作るつもりです。


まずはSenを実験台にして、ガラム・マサラを轢いてみることにします。
これまで友人や叔母からいただいた自作マサラでカレーを作ると、極上のものができることは自明でした。
今回は南インドの阿修羅無で毎年ヨガの修行をしている叔母からいただいた本格レシピです。

上段左から:クミン、コリアンダー・シード、カルダモン、クローブ
下段左から:胡椒、フェンネル、月桂樹の葉、シナモン


香りが出るまで煎る。
(熱を加えることで、組織から精油成分が出てきやすくするのです)


乳鉢で擦ります。


上手です。


実験からわかったこと:
かなり大きめの、重たい石のすりばちが子供には使いやすい。スパイスが飛び散ったりするのは覚悟の上で挑んだ方がいい。下に毛布をひくといい





轢きたてのガラム・マサラで作ったほうれん草と山羊ブリー・チーズのカレーは、たいへんおいしゅうございました。





途中白い乳鉢が壊れるというアクシデントがあり、あともう少しというというところまで轢いた粉が台無しに。今晩のおかずはテイクアウトにしようかと挫折しそうになったところで、Sen の方から「もういっかいやり直そう」と食らいついてくれ、再度挑戦。ありがたく手作りほうれん草カレーに辿り着いたのでした。

Senにもこんな忍耐力がついたとは。自分で作っているからというオトナな意識があったのか、それとも轢く行為が単におもしろかったのか・・・。いずれにせよ、Senで実験できるので大助かり。

ロッテルダム美術学校での授業

先週、代理講師として、ロッテルダム美術学校の授業を頼まれました。

これまでにもこの学校で2回、ゲスト・レクチャーをしたことがありますが、今回は私なりに授業らしい授業を組み立ててみました。

最近の美術学校は女子率が多いのですね。90%女子学生でした。
そのためか匂いや香りのテーマには興味津々。
学校側に嗅覚の領域も取り入れたいという意識があり、授業が好評だったこともあり、今後も継続して講師やワークショップを頼まれることになりそうです。

内容は簡単に要約すると以下の通り。



イントロダクション

*まず香辛料のひとつ、カルダモンCardamonを嗅いでみる。
どんなにおいがするか?
「いいにおい」以上の表現をしてみよう。
思い浮かぶ情景や昔の思い出でもいい。
〜に似た匂い、色、音などに例えた表現でもいい。
(生徒からのコメント:オレンジやレモングラス、刈草などが思い浮かぶ)

*次にカレー用スパイスミックスMasalaを嗅いでみる。
Masalaはいわばスパイスのカクテル。
先に嗅いだカルダモンも入っているが、それが嗅ぎわけられるだろうか。
カルダモンの他には、コリアンダー・シード、ローリエ、ジンジャー、ブラック・ペッパー、ターメリックなどの様々な香辛料が入っている。
スパイス同士のバランスがとられているのが、Masala。
カルダモンの役割も強すぎず弱すぎず。

嗅覚と匂いについての概論

*鼻は騙されやすい感覚器官でもある。
年齢、性差によって能力も嗜好も違う。
嗅ぐ環境によっても左右される。

*市販の香水には200種類もの香料が使われており、それだけの深みを楽しむ能力が私たちの鼻にはある。

*匂いには時間軸がある。調香師はその特徴を使って、トップノート・ミドルノート・ベースノートを意図した時間に配置し、「作曲」する。

*嗅覚は感情や記憶と強く結びついた器官でもある。

*視覚は光の波長を、聴覚は空気の振動を信号として受け取る。
嗅覚は、化学物質の形状を信号として受け取ると考えられている。(異論もある)
同じように化学物質を介在する味覚も、嗅覚と切り離せない存在。

*料理する度に、それを食べる度に鼻に意識を向けて欲しい。
スープを調理するとき。蓋を開けて煮た時と閉めて煮たときでは、味が違うはず。
食べる時も鼻をつまんで食べた時とそうでないときと、味が違うはず。


私自身の研究内容について

絵の具やキャンバスのように、匂いをアートの媒体として使…

ヒヤシンスの匂い 溶剤抽出に成功

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この抽出方法は、現代の香料産業で主に使われているテクニックです。

2008/01/21


2008/01/27


2008/01/31


2008/02/03


この方法なら常温での抽出が可能なので、より実物に近い匂いになります。
しかも濃縮されているということは、保存が効くということなのです。
またひとつ技術の幅を広げました。

ワークショップの香水をボトリング

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11月の香水ワークショップの成果物の展示が終わったので、ボトリング作業しました。


こちらのテディベアは、ある犬の匂いの染み付いたオモチャ。
飼い主の方によると「あまりに臭かったから、ちょっと前に洗ったばかりのオモチャを選びました。」
ソフトでまろやかな「犬」の匂いになりました。
ヨカッタ。鼻が曲がりそうな匂いにならなくて。


左から、パンを焼く時の匂い、シンタクラース祭の匂い、アーモンド菓子・白ワイン・花びらなどのカクテル


カクテル香水は、ある女性が自分の好きな匂いを寄せ集めて作りました。
熟成してまろやかないい匂いになっていました。


濾過。


ボトリング終了。
これらの香水は、ワークショップに参加してくれた方々の元へ還ります。

「もしもこんな匂いがあったら」

とある展覧会に参加することになりました。
展覧会のタイトルを訳すと、「もしもこんな匂いがあったら」でしょうか。
世にも珍しい、匂いだけの展覧会。
3月にニューヨークで、4月にイギリス北部 Sunderland という街のギャラリーで開かれます。

展示者は15人くらいらしいのですが、
それぞれキュレーターが考えたいくつかのエピソードや設定からひとつテーマを選んで、匂いを作っていきます。
ほぼ全員、パフューマーかサイエンティスト。
きっと「アーティスト」なんて怪しげな看板掲げてるのは、私だけだと思います。

アートのコンテキストにおける、匂いの展覧会。
こんな理想的なコンテキストで展示できるなんて、実はすごく光栄なんですが、正直ビビっています。
周りは「その道」で何十年も仕事をしておられる、れっきとしたプロフェッショナル。
匂いの作品作りを始めてたかだか1年か2年、
「その道」の学校に通ったのも2週間足らず、
しかも自宅の台所や風呂場を使って実験してるわけで、
香料会社の香料や器具がずらっと並んだ研究室とは規模も内容もわけが違います。

展覧会の technical requirement を理解するのがやっとなのです。
空間のサイズとか、電源とかインターネットの接続とか、プロジェクターの位置とか、そんなことをやりとりするのは朝飯前なのですが、この展覧会では
「Benzyl Benzoate に溶解、8オンス」とかそんな感じなんです。
Benzyl Benzoate? なんじゃそりゃ? てかんじです。
さぞやキュレーターもハラハラしているのではないかと思われます(笑)

で、私がどんなテーマを選んだかというと、
「旧東独の国家警察がスパイ特定のために人民の匂いを瓶詰めした」というエピソード。
実際に、ベルリンのある博物館でこの瓶を見ることができます。
(匂いを嗅ぐことはできません。)

もともと体臭の抽出などを実験した経験もあるのでこれを選びました。
体臭のリアリズム表現をするだけでなく、それを超えて、想像に働きかけるような抽象的な領域に踏み込むことができれば・・・というところが目標でしょうか。

目標は理想だけど、現状はほど遠いです。
限られた時間の中で、どれだけ実験が成功するかどうか。
実験のためには自分で汗をかいて体臭を出さねばなりません。
毎日ヨガして、汗かいて、抽出して・・・を繰り返せど繰り返せど、足りません。
おかげで痩せる…